最近、何回か小松空港を使った。最初は、ギャラリーのお客様に案内されて石川県山中温泉へ行った時だった。羽田から約1時間、あっと言う間の飛行だ。空港に旅館の方が迎えに来られていて、車で温泉へ。少し早いので、近くの名所を見学することになった。ついでに昼飯も。昼は、山中温泉近郊のイタリアン。なかなかの味であった。その後、食後にこれも近郊にある魯山人の寓居跡へ。なんでもこの地に半年ほど暮らしたとか。ミニ美術館になっている。やはり、魯山人の匂いがする空間だった。思い掛けず観光旅行風になり楽しかった。たまにはこうした観光も良いものだ。なにしろ、昔から旅というと仕事がらみの場合が多いので。その後、車で旅館まで送ってもらい、夕方宿に着いた。
山中温泉というと、昔、まだアメリカで仕事をしていた時に、POS販売店の関係者を連れて日本へ来たことがあったが、その旅程のなかで、日本の工場側が山中温泉への小旅行を企画してくれたことがあった。1980年代の半ばだったろうか、京都からバスで向かった。まだ、2月ごろだったか、雪模様の寒い日だった。バスは当然暖房が入っていて、私には心地よかったのだが、販売店の連中から「暑い、暑い、冷房をいれてくれ」と言われてしまった。何しろ、肉しか食べていない連中で体熱が高いのだ。しかたなく、一応お客様なので、バスの運転手に暖房を冷房に切り替えて貰った。内心、この野郎め(失礼)と思いつつもここは我慢して山中へ。そういえば、小学唱歌に「今は、山中、今は浜」と歌ったな。温泉についてそれぞれ部屋割りがあり、私は、その販売店の社長と相部屋となった。これも、日本側の配慮で、一応、私がPOS部の責任者ということで、そういう外交儀礼なのだろうか。ところが、その社長は、「トムさん、大きな部屋で寝てね、私は横の部屋で」という。
「まあ、貴方はゲストだから大きいほうで」といっても聞かない。よくよく聞いてみると「実は、いびきがひどく」と大きな体に似合わない小さな声で私に説明してくれたのが楽しく思い出された。
少し脱線したが、その旅館はとにかく有名店として知られ、誰もが、というか、温泉好きにとっては知らない人はいないほどだとか。(つづく)